沖縄歴史認識懇話会

立川在住の方より、ご意見いただきました。

著者:okirekikon

立川在住の方より、ご意見いただきました。

2017.04.30
立川在住の方より匿名でご意見いただきました。
****************
1.「琉球処分」と「自己決定権」
*沖縄県外の人たちの多くは、明治12年の「琉球処分」のことをよく知りません。「琉球処分」は日本における「沖縄差別」のみなもとであり、現在の沖縄県民意識に大きな影響を与えているという意見が沖縄県内では聞かれますが、これは歴史的に証明され得るものと思いますか?

→「琉球処分」が「沖縄差別」のみなもとであることを証明する?ということについてはよくわかりません。明治維新における内政・外交上の一大プロジェクトの一つを、別の問題にすりかえているような気がします。ただ、「沖縄差別」の理論的根拠を求めているのだとすれば、証明できるか否かは、あまり重要なことではないように思えます。いずれにしても、「沖縄差別」を主張している人たちが、それによって基本的な主張を変えることはなさそうですから。

*沖縄県内では「沖縄の自己決定権」確立の動きが見られます。これについては「沖縄差別」意識に基づく「分離、独立」ではなく、地方自治拡大・高度化を求める「沖縄のアイデンテイテイ―」確立の動きであると捉えるべきであるという意見がありますが、皆様はどう思いますか?

→高度成長もはるか昔となり、世代交代も進んでいること、ネットなど情報環境変化に伴う経済社会構造が大きく変化していることなどから、地方についてグローバルな視点からの再評価が進んでおり、地域のあり方が大きく変化するであろうとは思っています。その中での「沖縄のアイデンティティ」確立の動きは歓迎すべきものと思われます。ただ、「自己決定権の確立」といわれると困惑します。それは、沖縄県外の人に振り回されてきた沖縄の人が、結果の是非はともかく自分で決めたいということでしょうか。

2.沖縄戦の今日的意義
*今年も1945年3月28日に渡嘉敷で起きた集団自決慰霊祭が同村主催で行われました。この事件をはじめ沖縄戦では多くの住民が悲惨な体験を余儀なくされましたが、第2次世界大戦末期日本では沖縄県外でも多くの住民が命を落としましたことも事実です。日本国民にとって沖縄戦の今日的意味はどこにあると考えますか?

→多くの日本国民にとって、沖縄戦は、原爆投下と並んで過去に起きた戦争の悲惨さ残酷さを記憶にとどめるべき象徴とも言えるものではないでしょうか。最近の若者の中には、日本がアメリカと戦争したことを知って驚く人もいるようです。しかし、沖縄の人にとって、自分たちの父母、祖父母たちを命の危険にさらしたアメリカ軍が、依然として身の回りにいます。また、沖縄戦では日本の兵士に死に追いやられたことも多く語られています。その意味で、沖縄戦は今に続くように思われます。

*翁長雄志沖縄県知事は、在沖縄米軍基地問題に取り組むに当たっては、「沖縄県民の魂の飢餓感」を理解する必要があると政府関係者に訴えています。沖縄県外の人達はこれをどのように捉えるべきでしょうか?

→翁長知事は「歴史的にも、現在においても、沖縄県民は自由・平等・人権・自己決定権をないがしろにされてまいりました。私はこのことを「魂の飢餓感」と表現しています。」と述べました。これについて言えば、日本が明治時代に不平等条約の改正ということを思い出しました。地位協定の運用などをみていると、不平等条約に日本が苦しんだことに匹敵するような問題であると捉えるべきではないかと思います。

*沖縄戦=悲劇という直線的イメージだけで沖縄県外の人達が沖縄の米軍基地問題に関心を持ち続けることは可能と考えますか?

→「沖縄県外の人達にとって」となると、より難しいと思います。戦争が終わって 、70年以上がたち、世代交代も進んでいます。本土においても、砂川事件の舞台となった立川基地をはじめ、各地の米軍施設の返還が進み、基地の存在そのものが人々の意識から遠ざかっています。戦争は遠い国の悲劇であり、日本国内で言えば関ヶ原の合戦のような歴史上の事件にしか思えなくなっているのではないかと懸念しています。

3.サンフランシスコ平和条約と日米安保条約
*サンフランシスコ平和条約と日米安保条約の締結は、戦後の日本の独立とその後の発展の重要な一歩となりました。同時に沖縄には米国の直接統治という厳しい状況をもたらすものでした。当時日本が独立を達成するために取り得る現実的な安全保障政策は極めて限られていたことを思い起こす時、今日日本国民は、同平和条約発効の1952年4月28日をどのように捉えるべきでしょうか?

→今となっては、その意義が薄れてきているように思われます。終戦の日でさえ、若い人は黙祷しなくなってきています(夏の甲子園における選手のセレモニーの一つというものになるかもしれません)。忘れていいのではないでしょうか。

*沖縄県内ではまだ多くの人たちが4月28日を「屈辱の日」と捉えています。将来節目の年の4月28日に政府主催
「独立記念祭」が行われるような場合、この二つの認識が今後とも長く併存したままであることは日本国民にとって不幸なことで
す。どうすればこうした状況を克服することができると考えますか?

→昭和20年3月10日の東京大空襲(一夜にして、10万人以上の死者行方不明者、約100人の被災者が出ました。)を指揮したカーチス・ルメイ氏に勲一等旭日大綬章を授与する国ですから、何が行われるか予測がつきません。そのような場合、私にはどうすればいいかわかりません。

*平和を希求することは日本の国是であり、全国民の強い願いです。同時に政府として厳しい国際情勢を考慮に入れない
安全保障政策を取ることは、実際問題として出来ないことでしょう。理想と現実の間に大きな差異がある中で、サンフランシコ平和条約と日米安保条約締結の歴史的意味を改めてよく考えるとともに、より良い将来の安全保障政策を探求していくという未来志向の姿勢を持つことは可能と考えますか?

→現在の安全保障政策は、冷戦時代にその起源を持ちます。国際情勢の変化を踏まえ、運用等を変えてきています。よりよい安全保障の枠組みを探求するという未来志向の姿勢は可能であると思いますし、そうしていかなければならないと思います。実際、国際連合というものは、日本またはドイツに宣戦布告した国によって設立されました。しかし、今では連合国と戦火を交えた日本において、「常任理事国」を目指そう!という主張が出てくるような時代になりました。

*地位協定は米軍基地周辺住民の生活に大きな影響を与えるものです。他方、憲法上の制約を抱える日本が地位協定だけ取り出して「対等な関係」を米国に求めるということは可能と考えますか?

→地位協定の規定及び運用について、解釈が揺れ動くように思われます。「対等の関係」「全面的改定」という言葉が出てくるのは、そのあたりが整理されていないからではないでしょうか。地位協定として何が本当に必要な規定かを、当事者能力のある人が議論すべきでしょう。もっとも、自分に必要ではないこと、利益とならないことに時間をかけることは、たいていの人はいやがります。地位協定の当事者はどうでしょうか?

4.地位協定
*地位協定については、米軍基地が集中する沖縄では「全面改訂」という強い要求が行われていますが、沖縄県外の米軍基地所在地から同様の声は余り聞こえてきません。具体的な問題に即して米軍基地負担軽減措置を政府に要求していくことの方が、地位協定の全面改訂を求めるよりも実際的な効果が上がる、という考えについてどのように思いますか?

→沖縄が他県と違う点の一つは、海兵隊の地上部隊がいることです。海兵隊は突然出撃命令が下りて戦闘が行われる最前線に派遣されます。手足にある自分の名前の入れ墨は「爆弾で手足がちぎれ飛んだときに、自分の手足を確認するため」という話が冗談とは言い切れません。海兵隊員はメンタル面でもかなりきつい状況に置かれていると思われます。本土にある三沢、横田、佐世保基地など、空軍、海軍が中心ですし、今の米軍の圧倒的な戦力のもとでは直接戦火を交えることもありません。空軍などは家族も一緒に住んでいたりしますが、沖縄の海兵隊は単身者が多いようで、配属される隊員も国外への(国外からの)異動が頻繁にあるようです。海兵隊は敵前上陸したり、 敵の領土内に戦闘の橋頭堡を築いたりします。その意味で滑走路がなくても作戦遂行ができるオスプレイは不可欠です。海兵隊の装備であるからこそ反対が根強いのかもしれません。岩国基地は本土唯一の海兵隊ですが、航空隊であり地上部隊ではありません。「沖縄は本土とは違う」と考えた方が良いと思います。負担軽減の問題は、沖縄を基準に考えるべきだと思います。

5.米軍基地関連事件・事故
*沖縄県外には、米軍関係者と沖縄県民の犯罪発生率を比較し、沖縄の日本復帰以降米軍関係者の犯罪率は県民犯罪率に比べてはるかに低くなっているという見方があり、沖縄県内ではこれに反発する声が強いですが、こうした認識の違いをどのように捉えるべきでしょうか?

→警察官と反社会勢力構成員の犯罪発生率を比較して、警察官の方が低いといったら、警察官は怒るでしょう。米軍関係者は規律厳しい人で、日本の安全安心に寄与すべき人と考えれば、凶悪犯罪をおこすことがあってはならないことでしょう。

*政府の再発防止策ついては、実効性に乏しい、アリバイ工作に過ぎないといったような評価が沖縄県内では見られがちですが、これは実態に合っていると思いますか?

→再発防止策に対する評価は、新たな犯罪の発生によりネガティブになります。再発防止にあたる方はご苦労されていると思います。「盗人の種は尽くまじ」ではないですが、犯罪を完全になくすことは難しそうです。

 *再発防止のための日米協力の余地はまだ多く残されていると考えますか?

→あまりないのではないかと思います。実際、基地外で問題が起きなくなるのは、外出禁止令のときですし、そのときは、基地内で問題が起きていそうです。軍幹部としては、フラスト解消のために外出させないわけにはいかないでしょう。県民と軍関係者がスポーツの試合をするなどの交流機会をもうける努力されています。これらを拡大することにより、より良い関係をより強固に築くことも重要かもしれません。

*米軍関係者による事件・事故の発生は、特に基地周辺住民に大きな物理的・心理的負担を与えています。歴史認識の違いを議論する前提として、「沖縄賢人会議」において、米軍基地関連事件・事故の客観的な分析を行うことが必要であると思いますか?例えば、より効果的な再発防止策を講じていくためにも、沖縄戦終了後現在に至るまでの期間を幾つかに分けた上で、事件・事故の推移(発生件数、事件・事故の性格、再発防止策の有無とその後の効果、日米協力等々)を専門家にレビューして貰うという考えをどのように思いますか?

→日本の高度成長期、インフレを抑えられなかったように、物価をコントローすることは至難の業です。それにもかかわらず「2%の物価上昇」を実現すると言い切る方がおられました。できないことはできません。有効な再発防止策があるのであれば、世界から犯罪をなくすことができます。できないことはできません。これまでご苦労されてきた皆様も、いろいろ試行錯誤されてきたと思います。良い方針が出ないようです。気になるのは、犯罪の発生時に地位協定がどのような役割を果たしたかという議論が生じたときです。レビュー自体がまとまるのかということです。いかがでしょうか。

6.沖縄経済と米軍基地
*広大な米軍基地が存在するために戦後沖縄経済の発展は日本全体に比して立ち遅れてきたという見方ありますが、これを巡っては県内外の人たちの間で、大きな認識上の違いがあるとみられます。この問題については、先ず経済実態について知ることが重要であり、マクロ経済的視点を重視した更に幅広い分析と調査が必要であると思いますか?

→翁長知事は那覇市長だったので、那覇周辺の基地返還の効果を念頭に置いているかもしれません、那覇から離れた土地ではどうでしょうか。恩納村など北部ではどうでしょうか。一つ一つ考えていくことは難しいので、マクロ的視点ということになるのでしょうが、前提により結果は大きく違うことになります。

*沖縄の米軍基地の存在と沖縄経済振興策との間にリンクがあるのかないのかを巡って大きな意見対立が見られます。この対立は不毛なものと思いますか、それとも、経済実態の論点を整理することによって建設的な議論が可能になると思いますか?

→沖縄が復帰したときと今では状況が変わっているかもしれません。少なくとも、山中貞則、小渕恵三、野中広務といった方々がいらっしゃらなくなった影響はあると思います。対立している人それぞれに思い入れがあり、それぞれに、基地問題をからめた主張していることもあり、建設的な議論ができるかよくわかりません。加えて、基地にかかわる利害が県民ごとに異なり、それが県民同士の対立をもたらすのであれば、県民の融和のために基地をなくすことがいいと短絡的に思う人もいるかもしれません。そうなると議論が発散してしまいます。

*現行の沖縄振興策は「沖縄21世紀ビジョン」を広く反映していますが、この中でどのように「基地経済」を位置づけしていくべきと考えますか?

→「基地経済」位置づけるということは、21世紀において基地をどうしていくかという前提に影響を受けます。この前提条件について県民の合意をえることがまず必要でしょう。とりわけ、5年10年ではなく、遠い将来を視野に入れた場合、どうなのでしょうか。

*現行の沖縄振興策は「沖縄21世紀ビジョン」を広く反映していますが、この中でどのように「基地経済」を位置づけしていくべきと考えますか?
7.沖縄の新潮流
*ソフトパワー重視による現行沖縄振興計画は、「沖縄21世紀ビジョン」を反映したものであり、「沖縄経済の将来」について県と政府間で基本的認識が共有できる環境が整備されてきたことは極めて重要性なことです。これは長年続いてきた「沖縄差別」を克服するきっかけになると思いますか?

→「沖縄差別」の内容は、語る人により違うかもしれません。私の考える「沖縄差別」は、沖縄を日本とは異質のものという誤認識を背景とする、沖縄の人々に対する敬意の欠如によるものではないか、まっとうな人間性を持たない人によるゆがんだ人間観がもたらしたものではないか、と思っています。何と表現すべきか難しいのですが、いわば、ヒューマニズムといった視点から「計画」は何を実現するかを問うことが重要だと思います。たぶん「沖縄差別」をする人には、予算とか、事業などに目が行って、この意味がわからないと思います。

*上記の基本認識の共有は、政府と沖縄県が沖縄米軍基地負担軽減問題に取り組む上でどのような影響を与えると思いますか?

→基本認識が共有できたかどうかは、たぶん、計画が進展するに従い明らかになると思います。同床異夢でないことを願っています。

*長年にわたって沖縄県民は「基地との共存、共生」という考え方を拒否してきた歴史があります。一方、沖縄の地域特性を発揮しながら、アジアの成長を取り込み、日本とアジア太平洋地域との交流と成長に貢献する地域拠点の形成が沖縄の大きな目標となった現在、米軍基地負担軽減措置の進展が前提とはなりますが、米軍基地の存在は沖縄県がアジアとの経済社会文化等広い分野での連携を強化していく上で、依然として大きな障害にはなると考えますか、或いは、米銀基地といった政治問題と経済等ソフトパワー分野の問題とは切り離して取り組むことが可能と考えますか?

→沖縄が東アジアの一大交流拠点となり、着実に成長していけば、伝統産業である基地経済の問題は相対的に小さな問題となるのではないでしょうか。ただ、沖縄の基地と経済の問題については、沖縄批判の材料にしようとする人が絶えません。計画の関係者は、そうした主張に振り回されない強い絆を結んだ上で議論を積み重ねていくことが不可欠だと思います。

著者について

okirekikon administrator

コメントを残す