沖縄歴史認識懇話会

普天間飛行場の辺野古移設問題(その6)

4.「沖縄賢人会議」設置の提案

* 沖縄歴史認識懇話会(「沖歴懇」)は、沖縄の基地緒負担軽減問題について、実務的側面と並んで沖縄県民の持つ深層心理・歴史認識の側面への配慮が重要と捉え、政府と沖縄県に共同して「沖縄賢人会議(仮称)」を設置して貰い、政府と県の双方が選ぶ沖縄問題の専門家に主として歴史認識上の問題を議論して貰うことを提唱しています。“民間専門家”会合の設置を求めているのは、歴史認識問題の重要性は極めて高いものの、政府と沖縄県双方ともに、こうした問題について直接対話を行う気持ちにはなかなかなれないものと推察するからです。また、「沖歴懇」としては、歴史認識や差別観の問題について、関係者が見解を一致することまでは期待しておりません。それは本来的に無理な要求であろうと思っております。一方、意見の異なる沖縄問題専門家たちが一堂に会して議論することによって、お互い立場の相違がどこにあるのか、お互いの異なる立場の間にはどれ程の距離があるのか等を判断できるようになるのではないでしょうか?これによって相互不信の度合いも少なくなるのではないでしょうか?これは結果として、米軍基地負担軽減問題について、“すれ違い”ではなく“四つに組んだ”話し合いにつながるのではないでしょうか?

* 「沖歴懇」は、普天間飛行場の辺野古移設問題が「沖縄賢人会議」で議論して貰うに最もふさわしい議題の一つであると考えます。専門家たちが歴史認識問題を議論するとしても、必然的に基地負担軽減の実務的、物理的側面にまで議論は及ぶことでしょう。本土側が普天間飛行場代替施設建設を受け入れないにも関わらず、何故沖縄のみ犠牲を強いられ、辺野古移設を認めなくてはならないのかという沖縄側の提起する基本的課題を巡って、実務的観点と歴史認識の観点の双方から、大激論になることでしょう。一方、出来るだけその二つの側面を分離するように工夫して議論してみれば、これまでのように政府、沖縄県、有識者等の関係者が、異なる場所でお互いに一方的な主張を行うという“すれ違い”とは異なる意識が関係者の間に生まれて来るのではないでしょうか?

* 確かに、辺野古移設問題は政治のホットイシューであるだけに、この問題の背景に横たわる沖縄の歴史問題についての議論が始まれば、当初は極めて感情的なやり取りになることでしょう。一方、繰り返しになりますが、激しい議論を通じて立場の違いの距離感が分かり、やがて、沖縄の歴史問題に十分配慮しつつ、実務的に普天間移設問題に取り組むという雰囲気が出来て来るのではないでしょうか?欧米先進国と比較しても、日本の民主主義制度は高度に確保されていると考えます。この民主主義制度を現実にどこまで運用していくかは、私ども日本人の努力にかかっています。日本に民主主義は存在しない、日本は米国に従属していてとても主権国家とは言えない云々の主張を繰り返したとしても、民主主義の前進は図れないでしょう。好むと好まざるとにかかわらず、民主主義の下では、着実な前進こそ現実的なやり方であるとの受け止め方が、「沖縄賢人会議」での議論を通じて広がっていくことが期待されます。

* 政府と沖縄県の設置する「沖縄賢人会議」という枠組みを活用することによって、本土において沖縄の米軍基地負担の一部なりとも受け入れていく可能性を追求することは意義あることと考えますが、読者の皆様のお考えはいかがでしょうか?沖縄の米軍基地を本土に引き取ることを提唱する市民グループが日本には幾つか存在するようです。こうした市民運動の全国的広まりを鼓舞することも出来るのではないでしょうか?日本の安全保障は政府に委ねたままという態度を改め、基地負担を一部なりとも広く本土で引き受けていくという市民運動を盛り上げることによって、政府に対し、より適切な対応を求めていくことが、日本国民として取るべき新たなやり方ではないでしょうか?

* 「沖歴懇」は、今ほど、政府と沖縄県の共同設置する枠組みにおいて意見の異なる者同士が一堂に会して議論することが必要とされている時はない、と考えています。政府と沖縄県双方が有識者を選び、沖縄の歴史認識問題について議論を行う「沖縄賢人会議」(仮称)の設置を強く求めている次第です。