沖縄歴史認識懇話会

普天間飛行場の辺野古移設問題(その5)

3.民意

普天間飛行場の返還問題を巡って民意ということがよく話題にされます。「沖歴懇」としてごく簡潔に論点を下記の通り整理しておきます。

(1)選挙は該当する選挙区の民意を測る一つの有力な手段です。

*その精度については、投票率、或は、選挙運動の焦点等によって影響が出る場合があります。

*また、どの地域の民意を測ろうとしているか、特定が重要です。例えば、名護市長選挙は、辺野古移設問題について名護市民の民意を測る上で重要ですが、辺野古地域住民の民意が同市長選の結果にどれほど反映されているかどうかについては、選挙後の深い分析が必要になるでしょう。宜野湾市長選は、普天間飛行場の全面返還についての同市民の民意を測る上で重要ですが、移設先の辺野古住民の民意を測ることにはなりません。

*沖縄県全体の民意を図る上では、国政選挙と県会議員選挙は有力な手段です。一方、精度については、選挙区が広くなることもあり、選挙運動の焦点等によって、相当のぶれが生じる恐れがあります。

(2)各種世論調査は、対象となる地域の民意を測る有力な手段です。その精度については、設問の仕方によっても影響が出て来る場合があり、調査結果については中立的な判断基準が必要な場合も出て来るでしょう。

(3)住民投票は、民意を測る直接的な手段です。それだけに良質な設問の作成が重要になるでしょう。

(4)上述したように、普天間飛行場の返還には代替施設建設が条件になっています。この条件付き返還について世論調査で以って民意を測ろうとする場合には、普天間飛行場の返還と代替施設建設の双方を等しくカバーする中立的な設問が必要になります。しかしこうした調査は沖縄県内では行われていないようです。

(5)上記を総括するならば、普天間問題を巡る民意がどこにあるかについて、軽々に判断することは極めて困難であると言えましょう。これまでの歴史的背景により、日本社会は多様性よりも同質性を特徴としていますが、国際化が強く求められる今日、如何にしてこの多様性をもっと受け入れていくべきかが大きな国民的課題になっております。メデイア報道を取り上げて見れば、経済的、地理的規模の問題もあり、多くのニュースを巡って全国的には多様な見方も報道されますが、沖縄の基地問題のように日本の一地方に集中して起こる問題については、本土に比較して沖縄では、多様な見方が報道される事例は少ないように見受けられます。一方、沖縄の日本復帰前後から行われてきた各種世論調査に目を通して見ると、日米安保体制、米軍基地問題といった歴史認識に深く関連するものについても、沖縄県内では意見が相当に分かれるところがあり、そのどこに焦点を当てるかによって民意を口にする人の意見が異なってくるように思われます。従って、普天間問題を巡る民意についても、正確なところは分かりにくい状況にあると言わざるを得ません。「沖歴懇」としては、「喜び半減」「重苦しい感じ」と述べた故大田昌秀沖縄県知事の最初の反応は、現在でも相当高い程度で沖縄の民意を反映しているように思えるのですが、読者の皆様のご意見はいかがでしょうか?