沖縄歴史認識懇話会

「対話」を巡る幾つかの視点

「対話」を巡る幾つかの視点

先の沖縄県知事選挙で当選した玉城デニー知事は、選挙期間中から政府との「対話」の重要性を訴え、10月12日早速安倍総理大臣と菅官房長官に就任あいさつをしました。これは友好的な雰囲気のもとで行われたようであり、良い出だしであったと言えましょう。一方、普天間飛行場代替施設の辺野古への移設・建設について、県側は反対、政府側は実施という基本姿勢を示しています。この問題を含め政府と県は、沖縄県民の米軍基地負担軽減問題について今後「対話」で何を求めていくのか、現時点では具体的な姿は見えていません。

 

私ども沖縄歴史認識懇話会(「沖歴懇」)は、沖縄県民の在米軍基地負担軽減問題は日本全体にとっての大きな課題であり、「物理的」側面にとどまらず、「心理的側面」の負担軽減にも取り組むべきことを指摘してきました。同時に、政府と沖縄県双方が同数選ぶ専門家によって沖縄の歴史問題を議論する枠組みを作ることを提唱してきました。

 

私どもは、これまで「沖歴懇」のホームページを通じて行ってきた沖縄歴史問題に対する整理手法を基礎にし、今後の「対話」に際し政府及び沖縄県の双方に念頭に置いていただきたい諸点について、改めて問題提起をしていきたいと考えます。これらの論点は相互に深く関連していることに御留意願いたく、先ずは以下のとおり幾つかの点を箇条書きにします。次号以降において各論の説明をさせていただきます。

 

1.  負担軽減措置実施の前提(共通理解の確認)

沖縄の米軍基地負担軽減問題は、国益と県益の対立の観点から捉えられるべきではなく、先ず政府と県は、我が国全体として沖縄県民の負担軽減をどのように捉えるべきかについて、共通の理解を作り上げ、文書で確認すること。

 

2. 理想と現実の見極め

政治的に実現不可能な主張を行うことも、また、実現可能性のレベルを最低限に保つことも不適当であり、その間のどこで歩み寄りが可能であるかについて探求すること。

 

3. 国際情勢と基本的安全保障体制

最近とみに変化の激しい国際情勢に対する長期的な見通しと短期的分析の二つを踏まえ、我が国の基本的安全保障体制の在り方との関連で、基地負担軽減問題を考える必要があること。(これは上記1及び2に深く関連している。)

 

4. SACO最終報告に対するレビュー

1995年に日米間で最終報告が発表されたSACO(Special Action Committee in Okinawa,沖縄に関する特別行動委員会)について、改めて現時点で政府と県の双方でレビュー(*)を行い、今後「新SACO合意」を追求する妥当性について検討すること。

(*)特にこれまでの米軍基地の整理縮小計画の進捗に対する沖縄県民の「バランス感覚」

の推移に対するレビューが重要。

 

5. 日米地位協定の改定

同協定の改定は、明治政府が苦闘した条約改正と同等、或はそれ以上の難しさを持った問題であることを認識のうえ、日米安保体制上の日本側責任の拡大努力との見合い(*)で米側と折衝していくこと。

(*)「良いところ取り」の要求は、米軍の既得権緩和にはつながらないことの認識が必要不可欠。

 

6. 沖縄の歴史問題

沖縄の歴史問題について、本土関係者と沖縄県関係者との間に大きな溝が見られ、それが基地負担軽減問題の取り組みを更に複雑化させている。最小限何が誤解であり、何が考え方の違いであるかについて専門家に論点を整理して貰い、それを基礎にして、出来るだけ同じ土俵の上で政府と県は未来志向の政策遂行に努めることが重要である。